前回に続きまして、公開中の映画の感想でございます。
2本立てでっせ!!!!
・両作概要
2016年8月13日より公開。
発表自体は2015年8月22日に公開した前作「アイカツ! ミュージックアワード みんなで賞をもらっちゃいまSHOW!」のラストという1年前から情報がありました。
その時はまだ「アイカツスターズ!」(以下スターズ)の情報は出ていなかったのでどのような映画になるのかファンの間でいろいろな予想が出ていたのが記憶に新しい。
一番多かったのは、「あかりジェネレーション及びアイカツ(以下初代)完結編」という意見でした。
その内容も、かの傑作の前々作「劇場版アイカツ!」のような壮大な内容を期待していた人が大多数。
…しかし、事態は急変。
今年の2月の下旬頃、スターズという新世代の作品の発表がありました。
同時に本作の続報が発表されたわけですが、その時提示された内容は「初代とスターズの映画を2本同時上映にする」というもの。
これを見て、筆者含めファンの中で穏やかじゃない雰囲気が漂いました。
当時の筆者の気持ちや考察を綴ったのがこちらの記事です。
かいつまんで内容を話すならば、初代は見限られて「劇場版アイカツ!」のような壮大な内容には期待できないということ、スターズの方は序盤の頃に劇場版なんてやっても面白い話は出来ないだろ…というマイナス方面での気持ちが強かったんですよ。
それぞれの見る前の筆者の抱いていた気持ちはこうでした。
まず初代。
初代のTVシリーズ最終回こと第178話を見て思うことは多けれどキッチリ〆たことには大満足。
もしかしたらこの感動的な流れの余韻に浸れるような、そんな後日談が描かれるのかなぁなんて淡い期待をほんの少しだけ持っていました。
一方のスターズ。現在18話まで放送していますが、光るところはあれどどうもゆめというキャラにイマイチ魅力を感じない。アイドルという概念の描き方にも疑問符がある。
そんな状態での劇場版、面白いものなんて…という不安しかありませんでした。
以上のような背景があってか、見る前は好きなシリーズの映画がやるから見に行った以上の気持ちはなく、期待なんてものは当然していませんでした。
強いて言うなら初代はまだ楽しみだったかなーくらいで。
公開前の筆者の気持ちやネットの雰囲気をまとめつつ、2作両方の感想を書いていきましょう。
・アイカツ! ねらわれた魔法のアイカツカード
・さらっと内容紹介
本作の前座。
初代TVシリーズ178話のラスト手前~ラストの間の時系列を描いたお話。
公開前から、3年半に登場した全てのアイドル総出演!を売りにしていました。
上記のビジュアルから分かるように、総勢30人近いアイドル達が20分前後の短い尺の中堂々と登場するオールスター感謝祭でした。
初代主人公・いちごがプロデュースするドラマの撮影を描く物語というのが大筋の内容です。
・評価点
本編の内容の評価というと少し違うかもしれませんが、内容はTVシリーズの時点から既に構想があり、伏線を散りばめていたこと。
よく視聴していればこの作品は壮大な伏線の上で成り立っていたものであることがよく分かります。
前述の発表時点での筆者の気持ちや考察まとめた記事の内容と重複するところはありますが、根拠を書いていきましょう。
1つは、第156話より以下のセリフがあったこと。
第156話ではユウを中心に、ルミナスの3人・キャプにも映っているあまふわなでしこの二人と6人のアイドルが一堂に結集した回だったわけですが、TVシリーズ本編ではこの「また一緒に何かやる」という部分について触れられることはありませんでした。
ミュージックアワードの発表より後に放映された内容だったことと実際の映画の内容を見れば、これが描かれない今後の未来を想起させる発言だったとは思えなかったです。
次に、第159話のアイカツステージダイアリーより以下のセリフ。
この作品の内容も、こちらの第159話同様ドラマを下地にした物語です(※筆者は「ドラマ回」と呼称しています。ドラマ回の詳しい特徴に関しましては上記に貼った第159話の感想にまとめているのでそちらを参照。)。
また、セリフを発しているのがいちご、という部分にも注目です。
本作のドラマのプロデューサーはいちご…偶然とは、とても思えませんよね?
最後はこちら、第4期OPの1シーンより。
珠璃がドラマを撮影しているというなんてことないビジュアルですが、実はこの作品の本編の珠璃が登場するシーンの伏線になっていました。
というのも、珠璃が主演しているドラマ「アイカツ先生」の現在のシーズンは生徒たちが恐竜になっている…というトンデモ設定だとかw
「これ、アイカツ先生の撮影だったんかい!!!!」って本編見て突っ込んだ人はどれくらいいたのだろうかw
以上のように、1年以上前から発表のあった作品だったこともあってか、TVシリーズ4期の中に伏線が多く散りばめられていたというわけですね。
その伏線をしっかり回収した、ちゃんと視聴していた人間にあっと驚かせる仕掛けをしていたのは流石でした。
元々初代の映画シリーズは本編の時間軸のお話(=パラレルワールド✖)であることは共通事項となっていますが、本作はその中でも特にTVシリーズにたくさん伏線を散りばめていた作品でありました。最後の映画になるからこその気合だったんだろうなー。
3年半に登場した全てのアイドル総登場。
この言葉に嘘偽りはなかったことも評価点でしょう。
ラストのステージに出た25人のアイドルの他にも…
・波照間みなみ(第158話に登場の沖縄県アイドル。凛・まどかパートの野球場のキャッチャー担当)
・服部ユウ(2期登場の大空あかり最初のお友達。ののリサパートのリサの付き人のナースとして登場。)
・西園寺つばき(第160話登場。ちゃおに連載されていた漫画版の主人公。ユウ同様ナースとして登場。ただし、上記のみなみ・ユウと異なり名前のテロップは出ない)
・音城ノエル(2期登場の音城セイラの妹。声優の病気療養につき2期後半で担当声優が変わる。第172話でドリアカの生徒になっていたことが発覚。ドリアカパートで4人と一緒に魔法使いとして登場)
・三ノ輪ヒカリ(1期7話登場。紫吹蘭のライバル。以後はモブキャラとしてちょくちょく登場。終盤のWMパートの泉の侍女として登場)
と、ゲストキャラから「覚えてる人いるの?」ってキャラまでチョイ役でも登場。
ここまで出すか!?と。スタッフのキャラクターへの愛が伝わりました。
ラストのライブシーンも圧巻。
TVシリーズでは最大人数は8人だったライブも、本作では25人と3倍以上の差をつけて大きく記録を塗り替えました。
初代のライブシーンはとにかくお金がかかるみたいで、大人数のライブ・新キャラのライブをやるというだけでもそれはそれはコストが嵩んでお偉いさんに怒られることでもお馴染みなんだとか(※「アイカツ!ステージビジュアルブック」参照。)。
それが映画という媒体でお金に余裕があったからなのか、圧倒的人数によるライブステージが実現。
曲は初代に数多く存在する曲の中で1番最初に作られた「アイカツソング全ての始祖」こと「アイドル活動!」でした。
二人の主人公のデビューライブとしても印象深いナンバーですよね。
初代最後の映像作品として、始まりの曲を持ってくる…という采配もgood!
3年半でここまで大きな作品になったんだという感動がありました。
お話の内容も、超展開でこちらを驚かせるドラマ回のノリで突っ走る方向性は見ていて飽きませんでした。
映画館だったからこそ自重していましたけど、自宅で鑑賞していたら声上げてゲラゲラ笑っていたことは間違いありません。
これは、星宮いちごのもつアドリブ力と、大空あかりのたくさんのキャラクターに影響を与えて共感させる力を合わせた二人の性格に合致した内容だと言えます。
まさに、いちごとあかり新旧主人公二人を合体させたようなノリのお話。
二人だからこそ生まれた物語だった。
そういう意味ではお話内容にも評価できました。
・不満点
第159話の感想の時にも指摘したことではあるのですが、ドラマ回のわけのわからないノリは幼女にはサッパリ。本作の本来の対象年齢層と言える小さな女の子には全く向いていなかった。この部分には疑問符が付きます。
というのも、筆者が見に行った回は昼だったこともあり当然親御さんでの客が多かったわけですが、この作品のパートで笑いはおろか、声すら出す幼女は1人も見かけませんでした。
この作品を面白いと思って見ているのは、明らかに筆者に年齢の近いおっさんおばさん方ばかり。
女児向けアニメにおいて、正しいあり方なのでしょうか?
そして筆者の見た劇場だけなのかと思ったら、Twitterのフォロワーでも似たような報告をする方をチラホラと見かけたので、ほぼ共通の認識と言ってもいいのかなぁなんて勝手に推測しています。
この結果は色々な要因が考えられますが、一番有力な説は「幼女はスターズしか知らない子でスターズにしか興味がなかった」というもの。
勿論そういう層も来ることが予想されるのだから、スターズにしか興味のない子にも興味を出してもらえるような内容にするのがプロの仕事ではないだろうか。
シリーズ追いかけ続けてきたおっさんおばさん「だけ」面白い、じゃあ映画でやる意味なんて全くないと思います。それこそフォトカツのビジュアルブックで語っていたOVAでもいいのでは?
映画でやる以上、スターズと同時上映である以上、両方を見て満足いくものを作るべきなのに、スターズの層をガン無視したと言わんばかりの内容には正直首を傾げてしまいました。
筆者個人が楽しめたのならそれでいいじゃないか。そう反論する人もいるでしょう。その通りです。他人のことなんて考えたってしょうがない。
しかし、アイカツというシリーズはおっさんおばさん「だけ」が楽しければそれでいい作品ではありません。本来の対象年齢である小さな女の子にも耐えうる作品にすべきだとも思うんです。
そこを履き違えて、ただ単にファンサービスに走るだけに終わってしまった本作。
これ、映画でやる必要が果たしてあったのだろうか?
見終わった後の筆者はこの気持ちでいっぱいになりました。
ライバル作品の「プリキュアオールスターズ」シリーズならば、10年以上前のプリキュア達が出てきても幼女達は大きく盛り上がってる現場を筆者は何度か見たことがあります。
そういう知らなくても楽しめる!っていう部分が本作は致命的に欠けていました。もっと嫌な言い方をするならば、内輪ネタだけで固めた物語以上の何者でもなかった。それならば、こういう反応であっても納得せざるを得ません。
また、TVシリーズ同様の単一のドラマ回という視点で見ても、かなり粗が多い。
たくさんのアイドルを登場させる!という部分に比重を置きすぎたせいで、物語の収集は全然つけようがないとっちらかった構成になっていることや、単に出しておしまい!ってキャラがいて格差があったりなどの問題点も多かったです。というか、つばきはなんで名前のテロップなかったんだよ。アイドルとしてすら認められてないってことなのかよ。ノエルですらついてたのに。
個人的に特に残念だと感じたのは、スミレとひなきの存在意義でしょうか。
この二人は序盤こそあかりと共に同行しているのですが、中盤からは撮影班のソレイユと同じく傍観者となってしまい、他のキャラと異なって全く見せ場のないキャラになっています。
終盤にあかりと一緒にジョニーを一緒に追いかけたりはしているものの、結局ラストは4期の主要メンバー組でジョニーを追い詰めるという展開だったりで、スミレとひなき単独で活躍した!というシーンがありませんでした。
それはあおいや蘭にも言えることなのでは?と指摘されそうですが、ソレイユの3人は出演者ではないのでスミレとひなきとは明確に立場が違います。
他のキャラと違う立場だったことが見せ場だった、と解釈できないこともないですが、それでもまだ決めセリフのあったニーナやヒカリにも劣る影の薄さだったのではないだろうか。
物語の前後の整合性もあんまりつながっているとも言えず、ストーリーなんてないに等しい。アイドルが出てきた部分だけが面白くて、実際のドラマを見てもわけのわからない時系列の続くだけの映画になっているんじゃないの?というくらい雑な構成です。
お祭り気分を味わえる意味では面白いんですが、冷静にお話の内容とか思い出すとツッコミどころしかない微妙さで、丁寧に描いていたTVシリーズとはどうも毛色の違う仕上がりに成り下がっていたのが実情でした。
短い尺だし、ここに大きな物語を展開させろというのは流石に難しい。それはわかります。
しかし、この作品は尺自体はTVシリーズ1話分のそれとほぼ同じくらいなのに通常のドラマ回にも劣るいい加減な構成。
そして致命的だったのは、新作の物語ではあるものの新曲がなかったり、劇伴はTVシリーズそのまま流用だったりという低予算っぷり。
ドラマ回ではクライマックスにドラマを盛り上げてくれる専用のイメージソングが1曲流れるんですけど、本作にはそれがありません。評価点にも書いたもののライブは「アイドル活動!」だし、エンディングも4期のOPテーマ「START DASH SENSATION」。
ライブで25人出すところで予算を使い果たしたのか?と言わんばかりの過去の素材使い回しです。
初代はもう終わった作品なのだから、スターズよりお金をかけられないというのは分かりますが、ここまで露骨にされてしまえば悲しくもなります。
筆者の中で初代は打ち切り作品だったという説が濃厚だったりするのですが、それを裏付けるかのような見限られ具合でした。
・まとめ
不満点の方が長文になり面白くなかったという結論を予想されそうですが、作品そのものはとても好きです。というのも、筆者はTVシリーズのドラマ回のノリが大好きなので、そういう意味では大満足でした。
しかし、その満足した気持ちを打ち消すかのごとく見せてくる低予算全開な作品の素材・TVシリーズの感動的なラストの感動を打ち消すかのような雑な物語構成にガッカリしたのもまた事実。
実際の劇場の反応も、小さな女の子を対象とした作品であるはずなのに、面白いと反応してるのは大人層だけという異様な光景がすごく複雑でした。
面白かったけど、好きだとは言えない。
一言で表すならば、そんな作品です。
正直こちらの作品の方が期待していただけに、肩透かしを喰らいましたね。
しかし、ラストの25人ステージは劇場版だからこそ出来た代物だろうし、いちごとあかり二人のアイカツの終着点という視点で見るなら素晴らしいものだったと思います。
決して駄作ではないんですが、100点満点もつけれない。
ここまで追いかけてきた人間への「おまけ」という言葉がぴったりな作品でした。
・劇場版アイカツスターズ!
・さらっと内容紹介
事実上の本作の本編。時系列は公開2日前に放送した第18話と、第19話の間の物語です。
第18話の内容のメインであった南の島のアイカツのキャンペーンガールに選ばれたゆめ・ローラ・あこ・真昼を中心に南の島でのアイカツを描いています。
第18話でも言及されていましたが現在四ツ星学園は夏休みのようで、夏休みの間に起こった外伝といったところ。
・評価点
まず、ライブ方面。
ゆめ・ローラ・あこ・真昼の4人による「アイカツステップ!」のセレモニーの掴みはバッチリ。劇場では、「ねらわれた魔法のアイカツカード」で誰一人声を出さなかった幼女が嬉しそうに一緒に歌ったり踊ったりしてる子がいて微笑ましかったです。
そして、TVシリーズではファンの間でずっと指摘され続けていた「S4のステージ」がお披露目になりました。
本作のクライマックスに当たるシーンで、現在のTVシリーズではまだ1度もライブが描写されなかったツバサ・ゆずを含めたS4らによる「episode solo」が披露されます。
TVシリーズで出し惜しみしていたのはこの感動に繋げるためなのか…!という驚きがありました。
ライブの演出も圧巻の一言。四ツ星学園のトップによる最高で最強のパフォーマンスが描かれています。
そしてラストのライブにしてこの作品オリジナルの新曲「POPCORN DREAMING♪」は、本作の最後を飾るにふさわしい素敵なライブでした。
それに関連して、秀逸な物語構成について評価したい。
最初の概要の方でも触れましたけど、筆者はこの作品にはあまり期待をしていませんでした。
18話というまだ序盤と言える話数内で、大きく盛り上がるような長編を描くのは困難だろうと考えていたからです。
しかし、実際の本編では予想しない形でこの不安に切り返してきました。それは、ゆめとローラ二人の物語でまとめあげること。
ゆめとローラは、最序盤から出ている主要キャラです。
この二人だけのドラマ以上の物語をやらないのであれば、例え大規模な長編とはならずとも面白い話を作り上げることは可能。そういう形で描かれていたのです。
そして、そのゆめとローラの物語が感動的。
これまでライバルとして、友達として歩み続けてきた二人がこの作品で初めて明確な対立をしてしまうのですが、対立するまでの流れ、二人の気持ちが繋がって「絆」へと昇華する終盤、クライマックスのライブという一連の流れに感動して涙すら出そうになるほど丁寧な物語構成でした。
これまでのどっちつかずだったTVシリーズの流れからは予想することは出来ないほどの丁寧なお話に、いい意味で期待を裏切られた気分になりました。
ゆめとローラの二人が好きという方には満足のいく作品でしょう。
ゆめとローラの二人の物語を陰で支えるメンツも素敵でした。
自分のチャンスを棒に振ってでもローラの気持ちを優先させた真昼、数少ないギャグパートで劇場を笑わせてくれた小春とあこ。
そして何よりも、ゆめとローラのドラマの全ての元凶にして結果として2人のアイドルを大きな成長へと導いた学園長。本作最大の功労者は彼と言っても過言ではない。
彼は未だに何を考えているのか分からず、視聴者には賛否両論の存在だったりしますが、筆者はこの作品を見て「理不尽なことを言って困らせるだけのキャラ」というには少し違うのかな、と価値観が変わりました。
全て計算の上で、手段を選ばずアイドルらの覚醒を促せているのではないか。
そして、ゆめの覚醒には一番の親友であるローラを使うのが絶好の的だったからこそローラに大きな試練をぶつけたのではないか。
まさに、彼の計画のうちに四ツ星学園のアイドル達が踊らされている様は、デウス・エクス・マキナさながらの立ち位置です。
…が、ただ一人。
白鳥ひめだけはそのデウス・エクス・マキナに反逆している。この作品でもTVシリーズでも度々二人で会話してるシーンが印象的ですし、学園長に反論している様はよく描かれていますからね。
きっと視聴者の想像だにもつかないような大きな陰謀と計画が暗躍しているような、そんなことを想起させられるほどに学園長の存在が個人的に大きかったです。
まとめるならば、これからのTVシリーズのキャラクターの動きが大きく気になる作品でもありましたね。
友達として、ライバルとして、大きな絆が生まれたゆめとローラですが、S4になりたいという二人の夢に対し空席はたった1個。
いつか、二人はライバルとして激闘を繰り広げてくれるんだろうなーと考えるなら、友達として盛り上げてくれたこの作品は後々の重大な伏線となっているのかもしれません。
ただの外伝では収まらない、そんな魅力を秘めているのが素晴らしかったと絶賛したいです。
・不満点
Twitterでも大きな波紋を呼びましたが、過剰なまでのゆめとローラの距離感の描写は見ていて少し引いてしまいました。
筆者は決して同性愛に否定的ではありませんし、同人誌なんかでそういうカップリングで二次創作することなんかも全然いいとは思うんですが、この作品のゆめとローラのそれは少しやりすぎかなという気持ちにもなりました。
具体的には、二人が仲直りしてるシーンですね。顔近ぇ顔近ぇ!!!!!!って声を出して突っ込みそうになりました。
ただ、誤解しないで頂きたいのは、本作で描かれたゆめとローラのそれは同性愛では決してないという部分。
ネットの歪んだ評価をする輩がレズ映画だの百合映画だのと心無い暴言を吐くものがいて心底不愉快だったりするのですが、本作の二人の距離感というのは友達としての絆です。
レズという言葉で簡単に片付けるのはあまりにも歪んだ思考回路ではないかと反論したい。
あと本編の内容とは全く関係ないんですが、「ねらわれた魔法のアイカツカード」の上映が終わった途端に帰ってしまった客がいたことも悲しかったです。
おそらくは初代だけが目的でスターズに興味がないもしくは嫌いという方だったのでしょうが、この作品が素晴らしかっただけにそんな食わず嫌いで帰らなくてもいいじゃんって気持ちになりました。
自分で払ったお金ですしどうしようがその人の勝手です。でも、せっかく安くないお金払って映画館に来たのにそんな楽しみ方はあまりにももったいないなーという気持ちになったのであえて記載します。
・まとめ
「壮大な長編ができないなら、主要人物の掘り下げに徹底しよう」
本作の早すぎた劇場版製作に対してこのようなからくりで楽しませてくれて、意外性十分で驚きしかありませんでした。
ゆめとローラに絆が生まれ、これからこの二人がトップアイドル目指して争っていく後の展開を想像させられる素晴らしい外伝でした。
「劇場版アイカツ!」とは違ったベクトルでの感動作です。18話という短い話数の中でここまでの作品を作り上げたのは、1年前から制作が決定していたからこそ計画的に作品作りができたからこその賜物だったのでしょう。
これからのTVシリーズも頑張ってほしい。そう賞賛したくなるまさかの良作ででした。
・両作まとめ
期待値は初代>スターズだったのに、実際の作品評価はこのように真逆でした。
ただ、総合的に見ると満足できた映画だったとは少し言い難かったのも事実。
無理して2本立てにしないでスターズの映画で独立させても良かったのではという考えも出てきたほど。どうも公式は、スターズで完全に切り離したくせに未だに初代を引きずっている所があって腑に落ちないんですよね。
また映画が制作されるのかは分かりませぬが、次はスターズの単独の長編に期待したい。「劇場版アイカツ!」より更に限られた尺の中でこれほどのポテンシャルを秘めた作品を作れたのだから、単独の長編はもっとすばらしいものになるのでは、という期待が持てたからです。
終わりと絆の2つの物語。安易にオススメはできませぬが、スターズが好きな人は見に行って損はないと断言したいです。
~了~