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プリパラ元神アイドルにして、元創造神の器「南鉋竜」と四ツ星学園元美組S4にして、元破壊神の器「北渡時南斗」。

二人の愛は、消滅しかけた世界を救った。

2086年、二人は結ばれ結婚。
その翌年の2087年には二人の間に一人娘が産まれる。
名前は「南鉋一(はじめ)」。
二人の愛に育まれ、健やかに成長する…と誰もが思っていた。

2088年4月。
竜達の暮らす南鉋研究所に謎の少年が一人現れる。

「君は誰だ!」

「君達の力を欲する者…幻討十二死従もとい『魔神十二死従 第零の死従 天中殺の』…!」

少年は、竜と時南斗に襲い掛かる。

殺気を感じ取った「オメガ」と「ディノこ」は南鉋研究所に向かう。

研究所は外壁が破壊されるなど酷く荒れた状態となっていたが、竜と時南斗と少年の姿はそこにはなかった。
1歳の「一」がただ一人ベッドの上で泣きじゃくっていた…。

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それから13年後の2100年。
新西暦の幕開けとなる現世界だが、現在人類の住む地球は荒廃の一途を辿り、全世界の70%が砂漠化するなど過酷な環境となった。
現在の人類は2095年から火星への移住計画が進められており、全体の4割の人口が火星へ移住されたとされる。
その人々は富裕層の人間ばかりで、貧困層の人間は地球に取り残され、過酷な環境で生きているという格差が生まれてしまった。
そして、移住した4割の人間は元々火星に住んでいた現生人類とは全く別の生命体こと「新人類」と呼ばれる勢力の眷属となり、奴隷として働かされていたのであった。
「新人類」は「魔神教」と呼ばれる破壊神を崇拝する魔神の新興宗教の集団であり、火星に移住した人類は無理やり魔神教の信者にされ、かつて幻討十二死従が望んでいた「破壊神復活」のための労働をされている。
現在、地球でも火星でも人類は虐げられているのである。

2100年1月1日。
人類の火星移住計画がちょうど5年経過した日であり、「人類火星移住5周年記念式典」が、地球と火星を繋ぐ軌道エレベーター内で執り行われた。
出席者には現在の人類を代表する各国の首相、新人類側の魔神教の幹部が数十名並ぶ。
式典には厳重な警備体制が置かれているため軌道エレベーターに訪れる資格のある富裕層の一般市民にも閲覧は許されており、数万人の人間が軌道エレベーターに押し寄せた。

式典の最初に、火星の新人類代表による挨拶が始まろうとした時。
全部で十二個ある軌道エレベーターのうちの十一個のエレベーター内部が大爆発を起こす。
会場はパニックとなり、騒ぎに乗じた「一般人の女」は会場内の魔神教の幹部のいるVIP席に強襲。
手持ちの槍を使い、全員の喉元を刺し貫き殺害する。
その後も駆けつける警備兵を難なく倒し、唯一被害のなかったエレベーターに単身で乗り込もうとする。

「あいつだ!あの女が爆弾を仕掛けて、魔神教の幹部達を殺したんだ!」

パニック状態の会場で突如大声を出す一般人は、女の一部始終を見ていたのだという。
警備兵は全力で女の元へ向かうも、女はエレベーターで火星へ逃げようとする。

「あの女を捕えろ!殺しても構わない!」

警備兵は数百人でエレベーターの入口に取り囲む。

一方の女は大きく息を吸い込み、大声で吐き出すように告げる。

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「いいか、よく聞け魔神どもぉ!
あたしはリア!リア=ロンウィンド!!!
全ての魔神を殺して、人類を解放する女だ!
よく覚えていろぉぉぉ!!!!」


リア、と名乗る女はそのままエレベーターを起動して逃亡を図る。

リアの名前は瞬く間に地球と火星の中で広がり、史上最悪の犯罪者として話題になる。
その一方で人類を虐げる魔神側へ反逆を見せた革命の女として崇める一般人も現れ、リアの起こした「記念式典事件」は世界を混沌に包ませた。

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エレベーターが地球から火星にたどり着くのは4日ほど時間がかかる。
さすがに4日もエレベーター内で無防備で常駐していれば宇宙船から警備隊が襲ってくることも考えたリアは途中でエレベーターの外壁を壊し離脱。
エレベーター上の中間地点と繋がっている小さなコロニー内の町「エレベータータウン」で顔を隠し一時的な休息を図る。

その後、リアはエレベータータウンにて「一人の少年」と出会い、心を通わせる。

「あたしの目的は今人類が魔神に支配されてるって現状がおかしいから変えようとしてるだけだ。全ての魔神をあたしの手で殺す。」

「僕も志は同じだよ。全ての魔神を殺し、世界に革命を起こしたい。
利害が一致したね。僕と共に戦ってくれないかい?」


「いいぜ。仲間は多い方が動きやすくなるからな。
あたしはリア=ロンウィンド。お前は?」


「テイル…テイル=インブレイスエンド。よろしく、リア」


リアは、テイルと手を組み火星を目指し旅に出る。


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リアとテイルは、コロニー内に現れる追っ手から逃げながら再びエレベーターに乗り込むまでに1ヶ月かかるものの、無事火星にたどり着く。

たどり着いた2人は火星に十二個存在する魔神教の支部を巡り、支部内に存在する破壊神復活のためのエネルギー集積装置「デュアルギア」を次々と破壊していく。

二人は戦っているうちに次第に心惹かれるようになり、恋人としての関係を築いていく。

「あたしはテイルが好きだ。この戦いが終わったら…あんたをあたしの家に連れて行きたい。」

「また地球に戻れるか分からないけど、是非行ってみたいよ。」

リアはそう言って微笑むテイルの笑顔を見てたまらない気持ちでいた。

リアはテイルの笑顔を見るのが大好きだから。

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残すところ攻略する支部も1つとなる。

2人で数万人の敵を相手に戦い、ついに十二個目の支部の支部長こと最後の魔神と対峙するリアとテイル。

最後の魔神とリアの死闘はリアの辛勝に終わり、ボロボロになりながらもその場を後にしようとテイルに歩み寄るが…

「ここまで本当にありがとう、リア」


テイルは突如、リアに襲いかかる。

「テイル…どういうこと?」


「僕にとって魔神教の存在は邪魔だったからね。
デュアルギアなんてものを使っても、破壊神様は復活しない。
僕がこの手で、復活させるんだからね。」


「嘘…嘘よ…破壊神の復活を望んでるって…テイル、貴方…」

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「君の考えている通りだよ、リア。僕は魔神…君の最も憎む魔神だよ。」

テイルは自分の素性をリアに明かす。

「嫌だ…そんなの嫌だよ…
テイル!あたしとこれから一緒に地球に帰って、あたしの家に行こう?」

「君の役目は終わったんだ、リア…いや、『南鉋一』!」

テイルは本気の殺気をリアに向け、万全ではないリアと対峙する。

心の動揺を隠せないリアはテイルに敗北。

「最後に1つ問おう。君は創造神と破壊神の力を同時に内包した存在。
世界を壊すことも、再生することも出来る。
君はその力で何を望む?世界をどういう形にしたい?」


「あたしは…あたしは…テイルと一緒にいたい!ずっとそばにいて欲しいよ!」

「…やれやれ、とんだ期待はずれの回答だったね。ならばその力、僕が奪うとしよう!」

テイルの手刀がリアの首に狙いを定めた時。

「くたばれ…人殺しのクズ共…」


虫の息であった魔神教の支部長がデュアルギアを暴走させ、テイルとリア目掛けて投げ込む。

デュアルギアは巨大な黒い渦となり、あたり一面にあった全てのものを吸収する。

支部長はデュアルギアを擬似ブラックホールにさせて、テイルとリアを殺そうとしたのである。

擬似ブラックホールはリアとテイルを吸い込み、魔神教の支部も壊滅。

支部内にいた全ての人間は、行方不明となった。

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「おいお主!大丈夫か!」

リアは目覚めると、ベッドの中で眠っていた。

「ここは…あたしは…」

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「ここは天魔王城。ワシの根城じゃ。」

記憶喪失となったリアの元に現れたのは、天魔王となり人類に宣戦布告をしたオメガであった。

リアは、2085年…過去の地球にいた。

→Episode『エクス・ヴァルキュリア~火星編~』End.
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(※リア・オメガ・テイルのイラスト提供…藤堂やしき様)