
当ブログでは毎年恒例の感想記事シリーズで今年で3年目でございます。
(関連記事)
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・概要
2017年10月28日より公開された「プリキュアシリーズ」第14作「キラキラ✩プリキュアアラモード」の毎年恒例秋公開の現行TVシリーズ単独映画作品。
公開前より売りにしていたのは、本編での追加戦士に当たる「キュアパルフェ」を中心とした物語であるという点です。
また、公開前の週のTVシリーズのOP映像では、前作「魔法つかいプリキュア!」の面々が登場している映像が流れたことでカメオ出演していることが判明するなど、公開前から話題性はありました。
単独映画作品としても14作目である本作。
TVシリーズに関しては毎週見てはいてある程度楽しんではいるものの、そこまで情熱的になるほどの好感度でもないというのが本音。
それにシリーズも長い歴史を歩んできているわけだが、それでもマンネリなどとならず楽しませてくれるのか?
これは去年も一昨年も毎年映画館に行くたびに抱く気持ちです。
そんな感じで筆者は視聴前不安な気持ちがありましたが果たして…?
・短編映画『Petit(プチ)☆ドリームスターズ!レッツ・ラ・クッキン?ショータイム!』について
結論から言うならば、特筆して書くようなことはあまりないです。
10分前後で妖精がワイワイやっておしまい!ですのでw
…敢えて言うなら、TVシリーズだと存在感の薄いペコリンがリーダーシップ張ってて存在感あったのが印象的、くらいだろうか…(遠い目
この手の短編映画は映画館で見ても女児には割と好評なのを毎年見ていまして、いるかどうかで言うならあってもいいんじゃないかなーとは思うところ。
本編の前に上映することでミラクルライトのハウツー的な側面もありますしね。
そういう意味では一昨年の映画の「挑戦」はちゃんと生きているのかなぁとも。
・本作が打ち出した新たな作風「全編楽しく行こうぜ!」
ここから本題に入るのですが。
過去の映画23作品全ての作品を見続けてきた筆者ですが、過去23作までにおいてある種の「お約束」だったとも言える要素がありました。
それは、「映画だからこその感動巨編を描こうぜ!」という要素です。

一つ例を挙げると、過去の映画23作品ブッチギリの傑作だと思っている筆者イチオシの映画「映画 ハピネスチャージプリキュア! 人形の国のバレリーナ」。
筆者はこの作品こそ、プリキュア映画=感動巨編の頂点まで極めた作品だと考えます。
ただ、ちょうどこの作品でシリーズは10年目の節目となり、マンネリ化が指摘され始めた時期でもあったりしまして。
この作品に続く一昨年の映画・去年の映画も基本的な長編映画としてのスタンスは崩さず、あくまで「最後には感動できるお話」を徹底していました。13年間ずっとです。
それにより特徴として挙げられるのが、映画の本シリーズは暗くてシリアスなパートがTVシリーズより濃く描かれていたり、登場人物が辛い目に合うことが多かったりと「負の側面」が強調されるような描き方をされることが多かったのです。
対する本作ですが、結論から言うならばそのような要素は皆無です。

本編を見ていて一番の衝撃でした。
言うならば、終始ギャグが続いている楽しい映画。
本作は、キュアパルフェ=シエルが本編に登場する前の過去住んでいた場所パリを舞台に、シエルの師匠ジャンピエールと彼に付く謎の精霊クックとプリキュア達からなる物語です。

結果的に本作の黒幕はスイーツから怪物(TVシリーズに登場する怪物[例年と異なり固有名詞などは特にない]とは異なる存在)を生み出す力を持つクックが、

最高のスイーツ作りを成し遂げようとするジャンピエールの心に漬け込むことで巨大な怪物が覚醒し巻き起こった物語というからくりになっています。
クックは組織などで行動しているわけではなく単独の犯行で、まるで度の過ぎたイタズラをする子供のような感覚でプリキュア達に襲い掛かります。
それによって勿論プリキュア達はピンチになったりするわけですが、まるで緊張感やシリアスな雰囲気が感じられません。
というのも、クックはあくまで自分のスイーツを認めさせたいという目的でしか行動していないため、一般人に危害を加えないんです。
その根拠の1つに、序盤の敵であった泡立て器のモンスターが一般人を見かけるもスルーして、計画の邪魔になるプリキュアやパティシエ達に攻撃するというシーンが描写されています。
他にも、クックは魔法でプリキュア達を返り討ちにするわけですが、その時に使われた方法が「プリキュア達を動物に変身させて、本来の力を全く使えなくさせる」という斜め上のやり方でした。
これが例年の敵であるならば、変身出来なくさせるか何らかの力で弱体化させるといった措置を取っていたよいうなシーンだと思います。
何故動物に?しかもその動物の得意とする能力は使用可能(例:カスタードが変身させられたペンギンは水中の泳ぎが得意になる・ショコラが変身したザリガニに至っては新技まで披露していて弱体化一切していないw)という突っ込みどころの塊のような攻撃で、映画館で笑いをこらえるのに必死になってしまいましたw
何が言いたいかというと、スケールのでかい戦いだしプリキュア達も必死ではあるのですが殺伐とした雰囲気は全くないんです。
ノリがずっとギャグで突っ走っている。
更に、プリキュアとしての戦闘中の描写や台詞回しを取っても、全くシリアスな雰囲気は感じ取れません。
真面目には戦っていますがところどころのセリフにギャグを入れたりすることで、「楽しく」「可愛く」を全面に押し出した作風を徹底していました。
一つ挙げると、クックが「プリキュアは恐ろしい力を持っている…!」とうさぎの力を使うホイップはジャンプ力、リスの力を使うカスタードは素早さ、ライオンの力を使うジェラートは腕力を評価しますが、TVシリーズでも度々描写されている小動物を撫で回して気持ちよくさせるマカロンの力に対しては「あれは…わからない」と相手の力を全く分析できていないクックの間抜けぶりが描写されてたりw
戦闘以外のシーンで挙げるならば、シエルの師匠のジャンピエールはセリフ回しや動き1つ取っても面白く、キャラが濃すぎて例年のゲストキャラの比較にならないレベルで存在感がありました。
クライマックスのラストバトルを見ても、ボスである巨大なケーキの怪物を壊したり破壊したりすることはなく、怪物の頭脳に当たるジャンピエールに劇中で作ったミルフィーユを食べさせることで正気に戻らせようというお菓子作りが主な内容です。
6人のプリキュア達によるパリ全土のお菓子にされた建物を素材にミルフィーユを作っていく様は、当然ながら例年では感じたことのないような不思議な、でも「本作たらしめる熱い決戦」だったという気持ちにさせられる内容になっています。
このようなちょっと脱力しているようなシーンが終始続く様は、14年続く本シリーズの映画においては初の事例といってもいいと思います。
殺伐とした雰囲気が皆無であることで視聴してる女児を怖がらせたりすることがなく、楽しい気持ちで映画が見れる。
筆者が見ていた劇場内でも、女児は終始楽しそうに笑い声をあげて見ていたのもあり、このやり方は悪くないな…!という気持ちになおさせられましたね。
視聴していた筆者も、確かに緊張感はないかもしれないけど「プリキュアアラモードらしいやり方だな」って気持ちにさせられて見入ってしまいました。
文字だけで書くと、「じゃあ今年の映画は全然緊張感のない生ぬるい映画なんだな」と思われるかもしれません。
ハッキリ言えば、例年の過去作と比較するとそのとおりです。
しかし、考えてほしい。
本作のTVシリーズの放送が決まった時、最初話題になったことは何だったでしょうか?
それは、「プリキュアの肉弾戦の封印」と「お菓子作りをメインとする作風」の二点だったと筆者は考えます。
どちらにも共通していること、それはプリキュアと敵の戦いを殺伐としたものにではなく、優しく流麗なものという路線に変更したことと同意です。
その戦いの概念の変更こそ、本作の映画の作風そのものと見事に合致していると筆者は思ったわけです。
ギャグに関しては好みがあるでしょうし、合わない方には合わないかもしれません。例年のような泣ける映画!手に汗握る死闘!のようなものを期待していると肩透かしを食らうかもしれません。
が、筆者はそうではない楽しい可愛い本作の雰囲気は、伝説のパティシエであるプリキュア達の戦いを描いた作品としては見事に合致していると感じました。
例年には全くなかった作風の映画がツボにハマってしまい、終始飽きることなく楽しむことができましたね。
なお、感動できる要素が全くないかというとそういうわけでもありませんよ。
TVシリーズではほのめかす程度であったシエル=キラリンの過去がしっかり掘り下げられていたこと(なんと過去回想限定でピカリオまで本作には登場しています)、シエルがピカリオを差し置いてプリキュアに何故なれたのか、その意味を本作を見ることでしっかり伝わるようになっています。
本作の物語は、本編上の時系列には含まれない「外伝」でしかないのでしょうが、それでも本編上のシエルというキャラの印象を大きく変える描写がされているという意味では、ただの外伝では切り捨てられない魅力があったのも事実。
少なくとも、シエルが好きな人は視聴して損はないと思います。
・まとめ
14年続いてまだこんな新しい映画の描き方が出来るのか!天晴!!!
筆者は本作を高く評価します。
毎年秋の単独映画に外れと思ったような作品は1本もなかったなと感じる筆者ですが、それを踏まえてもシリーズ全体で見てとても面白かったと思います。
しっかりと本作らしい要素で描きかつマンネリなど感じさせない新しいものがしっかり描かれていましたから。
歴代の映画の中でも上位にランク付けしたいと本気で思えたくらい大満足しました。TVシリーズには全然好感度も熱もないにも関わらずです。
これだからプリキュアの秋の単独映画は映画館で見たくなってしょうがないんですよね。毎年必ず新しい何かが出てきますから。14年間その期待を裏切られたことが一度もありません。
この調子で、TVシリーズの方も頑張ってラストまで突っ走ってほしいと心から感じさせられました!
他にも語りたいことはあるのですが、とりあえず一番に訴えたかったことだけをまとめてこの記事の筆を置くことにします。

パルフェの格好したキラリン、かわええ(*´∀`*)
・おまけ
例年通り、最後に特報ありましたよ~。
来年の春のオールスター映画のタイトルは「プリキュアスーパースターズ」だそうです。
魔法つかいとアラモードは参戦ということで、今年の「ドリームスターズ」同様来年の新作含めた3作体制でやっていくのではと予想。
個人的にはそこよりも、ニチアサの時間移動問題(プリキュアは全く被害はありませんが)やバンダイナムコの売上表を見るにプリキュアはお世辞にもかつてのような人気コンテンツ!と言えるようなイメージは筆者は持たなくなったので、「いつプリキュアシリーズが終わってしまうのか」ということは嫌でも考えてしまったりします。
が、来年も変わらずオールスター映画をやるということは少なくともまだ2年は続くんだなと確信できたことで一安心です。
特に何かトラブルなどがなければ、来年も見に行くと思います。感想書くかは・・・よ、余力があれば・・・今年もドリームスターズ面白かったのに書けなかったしなぁ・・・w
~了~