えー、前回の日記に続きましてこれまたひっさびさの記事シリーズこと視聴した作品の感想記事です。
なんと最後に書いた感想記事は去年の10月のキュアモフルンでした。
ここらへんからどんどんマイキャラに傾倒していたんだな~とw

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今回題材にするのはこちら「仮面ライダー4号」。

・作品概要

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本作は、2015年3月21日公開の映画「スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号」のスピンオフとして、dビデオというドコモ専用の動画配信サイトにて配信された全3話構成の番組です。
動画サイトで配信されたVシネみたいなイメージですね。
つまるところ、「仮面ライダー3号」の事実上の続編にして完結編です。
なんと映画単体で完結しない不完全版商法をやらかす暴挙に出てきたわけですね。
スピンオフ、というのは「特に見なくても問題ないけど、見たら見たで深く楽しめるよ!」って作りが普通だと筆者は思っていましたが。
本作は、3号のラストで不完全燃焼で終わってしまった要素の解明こそ表面上の目的になってしまっているため、これを見ないと3号の不可解な終わり方が納得出来るものにはなってないぞ、という構成になっているんです。
しかも、Vシネで発売とかではなくその発表方法が有料の配信サイトによる動画配信というのがまたハードルが高い。
映画の結末をしっかり見届けるために、わざわざ有料の動画配信サイトに登録させるってほんとどういう神経してるんだ。
作品が面白いつまんない以前の問題じゃねーかよ。つーか子供とかどうすればいいんだよこれ、親に頼まないと見れないだろ?
・・・という感じで、3号の出来が到底納得できるような代物じゃなかったことも合わさって、とてもとても見たいなんて心から思えるような作品ではなかったわけですね。
当時見た人に話題にこそなりましたが、筆者はそんなことも気にせずただやり方が気に食わねーわ!一切の興味を閉ざしていたのが記憶に新しいです。

しかし、その映画も公開から2年半ほど経過しました。
また、最初こそdストア限定の配信作品であったものの、最終的には円盤が発売されました。
筆者は、レンタルで本作を取り扱っているという事実を知ってから旧作になったら借りようと決意していました。

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確かにやり方こそ気に食わなかったんですが、あの不可解な結末のモヤモヤをどうしても知りたかったから。
2年半ごしの心のモヤモヤを、昨日晴らしたのです。

さて、その内容はどうだったのでしょうか・・・?
記事のタイトルの副題にもある2つの要点を中心に感想をまとめていきます。

・555完結編?

本作は、記事一番上の画像内にいるライダーが活躍する作品なのですが、その中でも特に注目すべきなのが右から2番目の「仮面ライダー555」の存在です。

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「3号」本編でもレジェンド枠として変身者の乾巧共々登場していましたが、本作にもゼロノス共々引き続き登場します。
が、単なるゲストキャラの枠には留まりません。
この555こと乾巧こそこの物語の主人公で、黒幕という大変美味しいポジションになっているのであります。

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かいつまんで説明すると、本作の元凶である「繰り返される時間ループ」は当初霧子によるものだと思われていたのですが、最終的に死にたくないって気持ちが募る巧の犯行であることが発覚。

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3号から引き続き登場していたショッカーの首領も、その正体は「もう一人の乾巧」だったというオチで、

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巧が自らの死を受け入れることで「繰り返される時間ループ」は止まり、終幕・・・という流れになっています。

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また、サプライズゲストの如く2話の中盤から登場するのが、555の登場人物である腑破十臓いやライダー的にならゴーストの宮本武蔵(どっちも違う海堂。
巧共々オルフェノクの数少ない生き残りで仲間意識があるためか、巧には死んで欲しくないということで「繰り返される時間ループ」を肯定していました。

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途中、555本編の映像を流用した過去回想シーンも挟まれます。

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ちなみに、このシーンは555本編最終回のシーンですが、巧の着ているジャケットは上記で貼った4号のシーンのものと全く同じものなんだとか。残っていたとはすごいな~。

といった具合に、555の要素を途中から全面に押し出してきて時間ループの謎を追う戦いが気づけば乾巧というレジェンドのお話にすげ変わっているわけですね。
この物語構成に、配信当時とても好評だったことはよく覚えています。
555本編終わった後の巧は、こんなに誰かの為に頑張っていて、死ぬことに恐怖していたんだなと。
海堂が出てきたり、555本編の映像を流用したりしている所からも、あくまで彼を「仮面ライダー555に登場した乾巧そのもの」として描きたかった、ということなんだと思います。
そして、そんな巧が全てを受け入れて死ぬことで守った未来の姿は、まさに「仮面ライダー555の完結編に相応しい」という評価をしている方を、筆者は何度も見たことありました。

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いや、ちょっと待ってくれよ。
筆者には、どこからどう見ても、本作の乾巧を「仮面ライダー555本編の乾巧」と同一人物だとは、とても思えません。

前提として、3号本編に出てきた乾巧も本作と全くの同一人物です。
しかし、3号の世界は3号によって原初のライダーである仮面ライダー1号と2号は倒され、仮面ライダーとはショッカーの支配から地球を救えなかったヒーローとして描かれていました。
この時点で、TVシリーズの555とは何ら関連性がないことは明白。
あくまで本作の乾巧は3号の世界で生きていた乾巧であって、仮面ライダー555本編の乾巧でありえるはずがないんです。
しかし、本作では555本編の映像を中途半端に利用したりして、あたかも555本編の乾巧であるかのように描いています。
そんな現状からどうやって「仮面ライダー555の完結編」なんて言えるのだろうか。
確かに、555の本編は未来を想像の余地に委ねる終わり方ではありました。尺がなくて丸投げとも言えるんだけどな!
ある意味で、「乾巧という人間は、最終的にこういう生き方をするんだな」という一つの解釈ができる作品、という評価なら納得できるんですが。
あたかも555本編の乾巧が出てきてこの物語を作ったんだ、ということならば筆者は到底受け入れられないと思います。
そんな事実から、「仮面ライダー555完結編」と評価される本作には、首をかしげるものがあった、というわけですね。
あえて言い換えるならば、「乾巧の生き方の一つ解釈を描いた作品」とすべきかなーと。
その視点で言うならば、実に面白い作品だったと評価したいです。

・4号の存在意義

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タイトルにもなっている本作の目玉、それが「仮面ライダー4号」です。
3号が裏切った後、秘密裏にショッカーの中で改造されていたライダーで3号本編でもラストにちらっと登場します。これが不完全燃焼要素を更に増やしてきたクソ演出でしたね。
前述した「繰り返される時間ループ」の過程でショッカーはループすればするほど強くなっていく元凶であるショッカーが開発した歴史改変装置による恩恵だと思われる)のですが、同時にこの4号も強大な力を得るまで着実に開発していました。

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その実力は、戦闘機型ビークル「スカイサイクロン」で空中から怒涛の弾幕を張り巡らせ、

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まともに戦えば、555・ゼロノス・ドライブ・マッハの4人がかりでも圧勝するほどの実力です。

まさにボスとして確かな強さを見せてくれました。

・・・が、この4号、タイトルにもなっているのに出番が非常に少ない。
全3話80分弱ある本編において実際に登場したのは50分。本当に終盤の終盤だけです。
また、前述の通り本作は次第に乾巧のドラマに切り替わることも相まって、登場時こそ圧倒的な存在感はありますが、全体的にはタイトルの割に印象がすごく薄い存在にしかなっていませんでした。
3号には変身前の人間にもドラマがあったのに対し、4号はただただ戦闘要員でしかなく、そこらの掘り下げも一切ありません。

ある意味で、ショッカー最強の戦闘員という当初の仮面ライダー1号にやらせようとしていたことを完遂させた初めてのライダーとも言えるのかもしれませんが、タイトルにしているにも関わらず、乾巧のドラマの犠牲になって印象の薄い存在になっているというのは、個人的な大きなマイナス点でした。

せめて登場をもっと早めにして、最初から最後までひたすら無双するライダーだが、最後の最後で全員の力を振り絞ってやっと勝てた・・・とかそういうレベルでの活躍を見せれくれていたならまた違った評価が出来たかもしれません。
タイトルを「仮面ライダー3号完結編 仮面ライダー555」に変えていいじゃんと思ったレベル。

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しかし、最強の戦闘員だったこともあってかバトルでは印象深いものを見せてくれます。
当時一番上位フォームであったタイプフォーミュラが本編ではほとんど使うことがなかったライダーキックを使い、そこからの激突は良かった!
これは本作の円盤のCMでも使われていたシーンで視聴前から知っていた印象に残っていたシーンの1つです。

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そして一度は競り負けるものの今度はライダーパンチで応戦という渋とさで、強敵感はちゃんと伝わってきたのは○!

それでもやっぱり全体的には存在感のないただの敵だったので、タイトルにするほどの存在じゃなかったよな、って結論になってしまうのですが。

・まとめ

本作を注目する2つの点を中心にして感想を書きました。
面白いかつまらないかで言えば、面白かったです。前日談とも言える3号よりもずっとまとまっていた作品だったのは間違いありません。
ですが、実は乾巧の物語だったというからくりと、タイトルの4号は物語上さほど重要な存在じゃなかったという2点だけは、納得のいくものではありませんでした。
つまりは、本作の売りにしている要素が筆者にはことごとく合わなかったな、ということですね。
あたかも仮面ライダー555の地続きにして555本編の乾巧の生き様を描いたようにするやり方は、納得がいきませんでした。
4号も、もっとやりようはあったし物語上でもっと必要のある存在として描いてほしかったですね。

それ以外を除けば、3号とは違い4人のライダーに活躍を絞っていたことから全員公平に活躍があったりと、バランスは良かったです。
地味に、時間のループという問題だからこそ桜井侑斗はいるんだよなーということで、仮面ライダーゼロノスの存在感も555には負けないものがあります。個人的には巧より侑斗の活躍のほうがずっと良かったと思っています。

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ラストバトルのこの4人変身も中々に熱かった。本作で一番好きなシーンでしたね。

正直当時dストアに契約してわざわざ見なくて正解だったかな、という結論ですが3号のような嫌い・駄作というニュアンスでの評価ではなく、そこそこ楽しめはしました。
結論を書くならば、総合的に見るならまずまず満足した。一方で、売りにしている要素はイマイチでした。

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最後は、切なくラストを〆た1カットで。
この写真に込められていることの意味は、是非本編を見てください。

~了~