久々の映画館で見てきた映画感想でございますよ~!
今回は今話題のこちらです!

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・概要及び公開前までの筆者の好感について

「シン・ゴジラ」は、2016年7月29日に公開されたゴジラシリーズ第29作目に当たる作品。
前作こと第28作「ゴジラ FINAL WARS」から実に12年ぶりに製作された完全新作の和製ゴジラになります。
製作スタッフには総監督に庵野秀明、監督に樋口真嗣、音楽に鷺巣詩郎、絵コンテに摩砂雪…など、かつて「新世紀エヴァンゲリオン」を空前絶後の大ヒットに導いたあのガイナックスの精鋭をかき集めたことから公開前から大きな話題を呼びました。
というのも、庵野氏は大の特撮好きとして有名です。
いくつか具体例を挙げましょう。
大学在学時代には後のガイナックスの仲間たちと共に自主制作でウルトラマンを制作したり

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「ふしぎの海のナディア」に登場するアトランティス人をウルトラマンに設定する超展開を見せたり正確にはアトランティス人はM78星雲出身という設定)、

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「新世紀エヴァンゲリオン」に登場するエヴァのモデルは「鎧を着たウルトラマン」と注文したり・・・etc

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彼と特撮の縁話は挙げればキリはありません。
アニメ・ゲーム好きとして有名な方ではありますが、元を辿れば特撮を生業とする方だったんですよね。
そのような方を中心とした精鋭が集まると知った以上、生半可で適当なものが生まれるわけはないな、というのは筆者も確信していました。

しかし、同時に本作にはあまりいい気持ちはありませんでした。
ご存知、庵野氏が現在鋭意製作中であるだろう「シン・エヴァンゲリオン」の無期限延期状態という背景です。

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2015年公開予定だったはずの「シン・エヴァンゲリオン」、気づけば公開予定日から1年半が過ぎてしまいました。
ただでさえ遅れてたくさんのファンが待っているにも関わらず、その裏で本作を作っていた。
最初聞いた時、「エヴァどうすんの????」って気持ちが真っ先によぎりました。
おそらく、エヴァファンの大多数はそうだったのではないかと。
ちなみに、これは本作視聴後に知った事案ではありましたが、どうやら試写会の時に庵野氏自らがシンエヴァ製作の遅れについて謝罪していた場面があったそうで。
本人もこの件には自覚があってきちんと言うべきことを言っていた・・・ということで、納得はしましたね。

さて、そんな状況で公開初日まで筆者が本作に抱いていた気持ちは、こうです。

「シンエヴァほっぽってまで作った作品なんだし、さぞかし面白いんだろうなぁ???(上から目線」

…さて、どうだったのでしょうか。
本題に入りましょう。
なお、筆者は本作はIMAX版を視聴しています。迫力が半端じゃなかったですね。

・評価点

まず言いたいのは、徹底した現実味を重視した作風。ここですね。
本作は、ゴジラという要素だけがSFやファンタジーに分類されてるといっても過言ではありません。
ゴジラの対策を考える政府も、ゴジラと対抗する兵器も全てが実在するもの。
ゴジラを「怪獣」ではなく「災害」として取り扱っている部分は、どことなく初代「ゴジラ」(通称54ゴジラ)及び54ゴジラをリスペクトしたと言える事実上のリメイク作1984年版「ゴジラ」(通称84ゴジラ)に通ずるものを感じました。
しかし、54・84ゴジラは実在しない兵器を使用していた部分が本作とはまるっきり違います。
ゴジラという名前が浸透しているにも関わらず、自衛隊の面々が終始「巨大不明生物」と呼称しているあたりもリアル。ゴジラって元は当時の撮影スタッフのあだ名が由来だったのに、本作では随分と仰々しい理由で名付けられた名称になってたよね
「ゴジラ」という虚構の災害に日本人はどう立ち向かうのか?
本作はまさにそんな物語です。ニッポン対ゴジラというキャッチコピーに偽りなしです。

登場人物は大人数なんて言葉で形容するには少ないくらいに滅茶苦茶います。政府のお偉いさんから海外からの使者、自衛隊のエースと挙げればキリがない。
日本のトップ達が一堂に結集し、ゴジラという1つの災害をどう対処するか、その苦悩の様が描かれていました。
主人公と言える矢口を中心に、その1人1人が個性的でただのドラマを成り立たせるための駒以上の存在感があります。
常に画面には数十人以上の人間が映っているので賑やか。喋ってない人物ですら存在感がありましたね。
特に挙げたいのは、米国からの使者カヨコの付き人のSP。
なんとアニゲラや4gamer.comでお馴染みあのマフィア梶田が演じています。
見に行く前にフォロワーからの情報で聞いてはいましたが、あの外見でSP役は適任すぎて実際の映像見たとき吹き出しそうになりましたね。

ドラマ部分では、過去28作では見られなかった独自の雰囲気がありました。
それでていて、特撮の部分も気合充分な代物だったのも素晴らしい。
本作は、シリーズでは初となる「全編CGのゴジラ」が使われています。着ぐるみは一切使っていません。

(2016年8月15日 3時36分追記)

これは、庵野氏と樋口氏がタッグを組んで生み出した「巨神兵東京に現わる」が大きく影響しているようです。
こちらも全編CGを使って東京で大暴れする巨神兵が描かれた意欲作でした。「エヴァンゲリオン新劇場版Q」の本編とまで言われてる


コメントで指摘受けて間違いに気づきました。
「巨神兵東京に現る」は全て実写で制作された作品です。
だからこそ凄かったって話なのに盛大な勘違いしていました。訂正してお詫び申し上げます。

(追記終わり)


それによってどうなったかというと、ゴジラの動きがより生物的になりました。CGの方が生物的というのは時代を感じますね。
劇中では4段階まで進化していましたが、第1~3形態あたりは着ぐるみでは再現することが不可能なくらい凄まじい動きを魅せてくれます。
第4形態でいつものゴジラっぽい姿になりますが、それでも着ぐるみではないだけに異質な存在の表象になっています。
・・・ただ、この点最初は不安でもありました。
本作の予告編のPVでは第3形態のゴジラに自衛隊がヘリや戦車で射撃してる中盤の山場が写っていましたが、そこのゴジラが全然動かない・暴れてなかったんですよね。
結果的に本編を見ると、「自衛隊の猛攻に無傷であった」という部分が恐ろしくて衝撃的なシーンだったのですが、PVの段階ではそんなこと分かるはずもなく…。
「全然動かないなー」なんて本編でこのシーン見てる時まで不満だったりしましたが、事態は一変。
この戦いから数時間後の夜中。米軍の戦闘機が応援に来て迎撃に来てくれるのですが…

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米軍の猛攻への反撃へと言わんばかりに、ついにゴジラがお馴染み熱線を吐いて東京を焼け野原に変貌させます。
このシーン、個人的に本作トップクラスでお気に入りのシーンでした。
今まで動かない・攻撃しないゴジラでしたが、それが嘘のような猛攻が始まります。
これほどまでに熱線を吐いて鮮烈な印象を持たされたのは、過去28作見てきて初めてかもしれません。

というのが筆者の大体の評価したい点なんですが、要するに作劇も人物の描き方も特撮部分も大満足だったというわけでございました。

・不満点

些細な点と言えばそれまでなんですが、あえて挙げるなら伊福部昭氏の過去作の音楽の流用。
本作の劇伴自体印象に残りやすく雰囲気を盛り上げるのに一役買っているのにそこから浮いてしまっているのでは、という点が目につきました。
確かに彼の曲はゴジラという作品を体現しているほどの名曲。
ただ、最新鋭の現代の音楽と合致しているかというとちょっと違うかなという感じで。
筆者はIMAX版を視聴しましたが、彼の流用した曲の部分だけモノラルで、尚の事浮いていました。
強いて言うならエンドロールの時くらいしかいい!って思えたことがなかったんで、全て鷺巣氏の曲でよかったのではないだろうか。
ちなみにこれは余談ですが、劇伴の中にはエヴァンゲリオンの使徒襲来時のBGMこと「Decisive Battle」が何度か使用されています。
とは言っても伊福部氏の音楽のようなまるまるそのまま流用しているのではなく、フレーズを使用しているといった具合でした。だったら流用しないで鷺巣氏がアレンジすればよかったのでは・・・という気持ちに。

庵野氏の作品の特徴でもあるのですが、本作は1回視聴しただけで内容を100パーセント理解させようなんて気持ちはありません。
もちろんそれでも面白いのですが、基本的に映画って1回見てそれっきりって人が大多数なので、そういう人にとっては少し堅苦しさを感じる部分があるのでは、と思わなくも。

挙げたいのはこんなところですが、ほんと些細な点です。
音楽は元々偉大な名曲なこともあって聞き苦しいなんてことはありませんし、内容に関しては理解できなくても面白い、という所がまたすごいので。

・まとめ

歴代作品には何かしらゴジラ以外のノンリアル要素を入れていましたが、本作は政治や軍事や外交なんかを本格的に描写して、ゴジラだけがノンリアル要素という徹底したリアル路線でした。
話の内容は1回では理解できなくとも雰囲気でなんとなくすごいことをしているというのだけは伝わって来るし、何度も見ればあの時の内容が理解できる・・・という構造になっていて1回見ても何度見ても面白さが味わえる作品でした。

個人的に、本作は「実写でエヴァンゲリオンを製作するのであればこんなノリなんだろうな」という気持ちになりました。
根拠としては、エヴァ的な演出を多用していることと、ゴジラという異物の描き方はエヴァの「使徒」のそれと類似していたからです。
エヴァ的な演出とは、登場人物や兵器が登場する時テロップで紹介する(本作の場合これに加えて会議の名称なんかも全てテロップが入っていました)、ゴジラの意思はあるだろうが人間との疎通は不可能という点が終盤除くエヴァに登場した使徒と類似していること登場人物たちの会話の構図などが挙げられます。
勿論、氏の代表作なのだから似通う部分があるのは当然なのですが、逆を言うなら「もしかしてエヴァって実写でやりたかったことなんじゃないのか」なんて思わせられました。
エヴァのようなロボット的な兵器(エヴァは正確にはロボットではなく人造人間ですが分かりやすくこう表現しましょう)は出てきませんが、そこは前述のリアル路線の兼ね合いの関係なのかと。何度も言うが、ゴジラ以外の要素でフィクション要素はほぼなかったので。
従って、実写版エヴァンゲリオンを見た、というよくわからない気持ちになりました。
的外れなことは承知で書いていますが、本当にそう思ったのでしょうがない。
それでいて単に劣化エヴァなんてことはなく、本作はゴジラという作品として1つの完成形であったと言えるのでまた素晴らしい。エヴァ要素が異物にならず、ゴジラという作品に溶け込んでいるのはスタッフの実力の賜物と言えるのではないだろうか。

今から12年前・・・前作「ゴジラ FINAL WARS」を映画館で見に行った当時11歳の筆者ですが、見終わったときのガッカリした気持ちは今でも覚えています。
「ゴジラも地に落ちた」そんな悲しい気持ちを植えつけられたままシリーズが終焉を迎えていました。
そこから10年経過して過去の産物と成り果てていた時。
本作制作きっかけになったと言える作品の1つのハリウッド版「GOZILA」を見て「これ、日本で復活すればまた面白いものが産まれるのでは?」なんて気持ちにさせられた上で出来上がったのが本作です
「ゴジラが日本に帰ってきた」
細かい評価は前述したとおりですが、筆者の中で一番の感動はここです。
過去の遺産でしかなかったゴジラにおいて、現代においても素晴らしい作品を提供できるポテンシャルを見せつけてくれた本作は、「傑作」であると評価します。
シンエヴァを放り出してても作り上げた本作。
シンエヴァなんて放置しても良かったとまでは言いませぬが、彼の精神状態とこれがシンエヴァを作り出す原動力になるのであれば、本作を作り出したことにはとても大きな意味があったと思います。
「さぞかし面白いんだろうな」なんて思って自分の愚かさを痛感しました。「面白い作品ありがとうございました」絶賛したい。

筆者の力量不足で本作の素晴らしさをうまく伝えられたかは分かりませぬが、以上で感想を〆ます。
お読みいただきありがとうございました。

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~了~

(2016年9月3日 5時10分追記)
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(追記終わり)