・概要

今回は、最近クリアしたゲームの雑感まとめでございます。

maxresdefault (12345781)
 
作品はこちら、「蒼き雷霆(アームドブルー) ガンヴォルト」!
本作は、2014年8月に配信されたニンテンドー3DSのDLゲーム専用ソフトです。(その後PC版も発売されました)
「ロックマンゼロ」「ロックマンゼクス」「ロックマン9」などを生み出したアクションゲームの精鋭の集まる「インティ・クリエイツ」と、ロックマンのデザイナーやディレクターで知られる(=ロックマンの生みの親は正解で不正解稲船敬二氏のタッグが生み出した2Dアクションゲームになります。
発売当時、主にロックマンファンの間で大きく話題を呼んだ作品で、それゆえにロックマンとことごとく比較されることの多い作品でしたが・・・?
なお、今回の記事は本作がアクションゲーム故手元に3DS置いて写真を撮るのが困難なゲームだったので、画像による説明は少なめです。

・俺と本作の出会い

実は俺は2年ほど前まで3DSLLを所持していたのですが、ひょんなことから紛失してしまい、3DSのゲームがしばらく遊ぶことが叶いませんでした。
最近になって中古ではありますが再び購入し、2年ぶりに3DSのゲームで遊ぶ機会が出来ました。
さて、そんな状況かで3DSを買う前からすでに購入を決めていた本作。
きっかけは、ほんのちょっとした好奇心でした。
俺はロックマンシリーズはほぼ全ての作品を追いかけている程度には好きな作品だったりしますが、そのロックマンで繋がったTwitterのフォロワーの中で本作は特に好評でした。
ただ、Twitterの意見の中には「劣化ロックマン」といった心無い意見を見ることもあり、本作がロックマンとどれくらい似たソフトで、似てる上でなぜここまで好評なのかという部分が引っかかったのです。
要するに、「ロックマン」という土台があったからこそ興味を惹かれた作品でしたね。それを念頭に置いた上でこれから書く事を読んで頂きたい。

・ゲームシステム


コードネーム「GV」(ガンヴォルト)を操作する面クリア型横スクロールアクション。
ステージ数はOP+選択6ステージ+中間+最終4ステージ+真最終ステージ=13ステージ構成。

GVはバスターやセイバーなんてものは使わず、手持ちの銃弾を敵に当てることで敵はロックオンされマーキング状態になる若干ダメージも入るが雀の涙)。
マーキングは段階変化があり、最大3段階まで変化する。
この状態になることでもうひとつの武器にして、GVの特殊能力こと体から発する放電攻撃「雷撃鱗」を敵に当てると大ダメージマーキングしていなくても雷撃鱗を当てることが可能だが、こちらも若干ダメージが入るだけの雀の涙)。このプロセスを繰り返すのがGVの基本攻撃方法となります。
簡単に言うならば、ロックマンが撃つor斬るゲームならば、本作は当てる準備をして撃つゲームです。
ロックマンの場合、バスターを撃って攻撃・セイバーで斬って攻撃して倒すという動作を1ボタンでやるのに対し、本作は撃って倒すための前提条件を満たすために2つのボタンでの操作が必要というわけです。
こう書くと面倒そうに見えるかもしれませんが、マーキングが決まった状態での「雷撃鱗」の攻撃はホーミングで必中当てること自体は敵の当たり判定がそんなに小さくない(大抵の敵はシールドや顔を隠すなどをして防御することばかりで、かわしたりすることはない)ので簡単と、文章にすると面倒そうなだけで実際の感覚は楽です。

攻撃方法も特殊かつ特筆事項ではありますが、それ以上に挙げたい部分があります。
それは、「徹底過ぎるほどの初心者救済システム」。
近年この手のアクションゲームは、「ロックマン10」のイージーモード「ドンキーコングリターンズ」のお手本プレイなどに代表されるように、難易度の高さから敷居を感じやめてしまう人も増えてしまったことを懸念してか、システムによる救済がとても目立つ作品でもありました。
箇条書きで説明すると、

残機という概念が存在しない
・やり直しが直前のリトライポイントから・ステージの最初から・ミッション中断と細かく細分化されている。
・ミッション前にヒロインのシアンとの会話を繰り返して好感度を上げることで、ミッション中の死亡時に一定確率で強化された状態で復活可能
・レベル。RPGのようにHPが上がる。HPが上がればミッションでの死亡率も格段に減る。
・攻撃中でなければ相手の攻撃を完全回避する電磁結界(カゲロウ)の存在。使用にはEPと呼ばれるエネルギーを一定量必要するが、こちらが↓✖2で完全回復が可能のため、実質↓連打している限り絶対に被弾しない。

以上のようなシステムの数々から、はっきり言ってしまうとゲームをクリアするだけなら難易度はそんなに高くはありません。これらのシステムを駆使することでクリアは容易になっています。
かといってヌルゲーになっているかというと全くそんなことはなく、選択したステージによって存在する目標をクリアしていく「クエスト」は楽なものからどうやったらこんなんクリアできるんだっていうくらい鬼畜なものと多種多様。
初心者からやり込み派まで大きく対応しています。「ロックマン9」のチャレンジに通ずる要素ですね。

・評価点

なんといっても、GVのマーキング→雷撃鱗でザコ敵を倒す様は爽快!
慣れてくると一画面中にいる2~4体の敵を同時にマーキングしてまとめて無双なんてことも出来たりした時はとても気分がいい。
当てる準備をすることが前提のゲームのためか、基本的に敵キャラは棒立ちの中攻撃してくるというパターンがほとんどなので、かわすことはそこまで重きにありません。というか、前述のカゲロウの影響でかわすということを考える必要はほとんどないです。

本作のヒロインであるシアン及びシアンの特殊能力による擬似人格モルフォは、一定条件を満たすことで歌を歌い、ステージ内のBGMが変化します。
その一定条件というのが、クードスと呼ばれる相手を攻撃することで得られるポイントを一定ポイント貯めること。ただし、被弾したら0にリセットされてしまうので、この歌を聴くということはやりこんだ人間のある種のご褒美のような演出に。
それだけに結構印象に残りやすいといいますか、かっこよさ全開の曲が多いです。中の人が歌手活動もしている方のようで(ラブライブのアライズのリーダーでした)、納得の采配。
また、前述の一定確率での強化+復活時もこの歌が流れます。これが燃える燃える。まるでマクロスシリーズさながらの盛り上がりっぷり。
歌がゲームの演出としてしっかり違和感なく溶け込んでいるのはそれだけ演出が素晴らしいことの証左にもなっているのではないかと。

ミッション中の通信会話パートも中々手が込んでいます。
全てのミッションに共通して、キャラクター達が道中の仕掛けの解説から日常話まで無線を通じて会話するのをはじめ、ボスや敵との掛け合いなどが道中を進めながらノンストップで聞けます。
昔、「ロックマンX5」というゲームがありましたが、

ダウンロード

同じようにエックスをサポートするエイリアの通信が入ったことを思い出す。
・・・その通信、強制的なんだけどね。
ステージを移動している合間合間移動を阻害されながら延々と聞かされる・・・という、こちらはシリーズの要である「スピード」を完全なまでに殺してしまったという致命的な仕様でした。
次作の「ロックマンX6」以降ではこの通信はスキップすることが出来るようになるのですが、それでも道中の足を止められてしまうのは変わらず。本作はこの不満点を改善策を見事打ち出しているかのようでした。
フルボイスでキャラクターが掛け合いをすることで、スキップするという手間もなく道中に聞けます。邪魔なら設定でOFFにすることも可能で、ミッションに集中したい時はこれも良しでしょう。
俺の場合は、邪魔どころかむしろ何度聞いても楽しかったんで常にONにしてましたね~。
それに関連しまして、キャラクターも個性豊かな面々がいっぱい。
主人公のGVを始め、ヒロインの箱入り娘なシアン、プリキュアにロックマンに色んな小ネタを挟みつつ軽妙なトークを展開するGVの先輩のジーノ英語の掛け声が印象的なアシモフ味方サイドだけでもこれだけ個性的。
ボスの方も戦闘中掛け合いをしますが、敵ということで狂気を満ちた連中ばっかりです。
特に印象的なのが、ドルオタの紅蓮の豪腕ファーブニールモドキデイトナ多重人格で声優の熱演が凄まじいエリーゼ中間ステージのボスという微妙な立ち位置で最終的にGVではなく全く関係ないキャラに殺されてしまうにも関わらず変態的な発言で鮮烈な印象を残すパンテーラあたりですかね。
このようにキャラに大きな個性をつけたフルボイスの掛け合い要素はアクションゲームにおいて新たな表現方法だったのではないか、と評価したい。

大雑把に評価点をまとめるならこんなところでございました!

・不満点

カゲロウばっかり頼っていると、一部のボスに大苦戦必死です。
具体的には、EPを一定時間使用不可能にするアキュラや裏ボス、一撃必殺技で畳み掛けてくるカレラやストラトスがそれです。
彼らはカゲロウによるゴリ押しが効きません。その部分で難易度が少し極端かな?と思えなくもなかったかな。
勿論カゲロウはあくまで救済措置ですからこれを使えない敵がいることはなんにもおかしくはないんですが、カゲロウ前提のゲームバランスのように作っているのにいきなり突き放している感じがあったのがどうも複雑でした。どのボスにもカゲロウを頼りづらくするパターンを標準装備にしても良かった気がする。
後これは超個人的な好みの問題で申し訳ないんですが、アキュラの声質がすごく苦手でした。棒読みに聞こえて。他のキャラも比較的キャリアの浅い方が担当していて違和感がなかったのに、アキュラだけすごく浮いてると思ったレベルで苦手だった。この声の棒読みっぽさといやらしい攻撃パターンが組み合わさって、本作きっての嫌いなキャラに。次回作でプレイアブルになると聞いて驚きました。

評価点で挙げました歌の要素に関しては、気づかない人はおそらくクリアするまで一生気づかないってくらい聴くための条件が厳しいです。初見のステージ攻略で聴くことは絶対に無理。周回でやり込むことを前提として楽しめる要素です。
そのハードルを下げるために一定条件下で死亡時に強化復活という要素も入れたのではないかと推測するのですが、こちらも確実ではないが故に気づかない人は全く気づかない可能性もあるので、せっかくの魅力が半減しているのではないかと感じました。
俺もクリアまでの数十時間において、この歌を聴けたのは数える程です。曲数もレパトーリーが多いだけに全曲は聴けていません。
ただ単に本編クリアして楽しみたい人にはあんまり伝わらない魅力、という意味では残念ではありました。

次に、キャラクターの掛け合いは良くも悪くもノリが人を選ぶ所。
元々本作は「ライノベル2Dアクション」という独自のジャンル名が表現しているように、設定周りもキャラクターもどこかライトノベルのそれを彷彿とさせられる作品です。
だからこそなのでしょうが、細かいパロディネタや癖の多い性格の連中が多い。
俺はそういうノリの作品であることを承知の上で購入したので気になりはしませんでしたが、それでも前述のスラングネタ多用するジーノや気持ち悪い発言ばかりするパンテーラあたりは嫌う人もいそうかなぁ・・・なんて感じたりしましたね。
ここらへんのノリは別の会社ですが「ブレイブルー」シリーズに似ているなぁと思いました。最近はこの手のノリの作品の方がウケがいいんですかね?俺は両方とも好きですが、このノリが完全に好きかというとそういうわけでもなく…。
個人的には、GVの掛け合い中の「迸れ、アームドブルー!」以降の口上が少し苦手というか、臭いなぁ・・・って思わなくもなかったです。
本作の表ラスボスである紫電も「ふーん。で?」って感じでこの口上を返しますけど、俺は毎回そんな気分で聞いていましたね。いや、かっこいんだけどちょっと抵抗感ありました。こればかりは好みの問題ですが。

細かい部分での指摘ならば、アイテム開発関連がわかりづらさ全開現在の装備品が開発の素材で使用不可なのでいちいち付け直さないといけない・今所持してる個数が確認出来ない)だったり、クエストをステージクリアしたが未達成だった時にまたいちいち受け直さないといけない・クエストをクリアしても手動で報酬を受け取る必要があるといった部分が気になりましたね。

・まとめ

こうしてまとめてみるとお分かりかになるかもしれませんが、ハッキリ言って本作は2Dアクションゲームという点以外でロックマンとの共通点なんて存在しません。
なぜ「劣化ロックマン」などという暴言を吐けたのか不思議なレベルで全く別のゲームです。稲船さんアンチの戯言だったのかな?
俺はロックマンという全く別のものからの切り口で本作を知ったわけですがロックマンはあくまで本作を作った人間たちの代表作であり、そのロックマンを払拭するかのような新しいアクションゲームの挑戦を見せてくれました。
要するに、ロックマン関係なく本作は1本のゲームとして良作たり得ております。
従って、ロックマンが好きだから本作が楽しめるかどうかというのは全く関係ない、ということを強く訴えたい。
ちなみにこれは、最近稲舟さんが開発に携わるという本作と少なからず共通点があるだろう「Mighty No. 9」にも全く同じことが言えるのではないかと思います。

MIGHTY_mainart0826_fix
こちらは筆者はまだ未プレイですが、近日中にプレイ予定ですね。

GVの「当てる準備をして、撃つ」という独自のアクション歴史の深い2Dアクションゲームにおいて新たな楽しさを追求したと言わんばかりの斬新な切り口だと思います。
それに伴って敵キャラのパターンも多種多様で、救済措置も満載。特にカゲロウというアクションゲームにおいて重要な「敵の攻撃を回避する」という要素を自動で行うというのは前述のアクション同様極めて斬新な切り口に感じました。
そして極めたい人には、クエストやSPミッションなどえげつないステージも満載。
何より、これだけのクオリティをわずか2000円という価格で楽しめるという事実。ボリュームがもう少しあればフルプライスでも問題ないのでは、というくらい凄まじい。
同時に、2Dアクションゲームというのは世間のゲームにおいて少しマイナーな位置にあるものになりつつあるからこういう立ち位置での販売なのかな、という寂しさを感じたタイトルでもありました。
2Dアクションゲームというジャンルが古いゲームのジャンル、なんてイメージを払拭してくれるという意味で本作を俺は高く評価します。
タイムリーなことに、今月に本作の続編が発売するみたいなので、そちらも購入してまたこうして感想をまとめる予定です!

002


・おまけ~本編クリアまでの流れ~


ここからはネタバレ全開の感想なので、これから本作を購入したいと思ってる方は閲覧非推奨で!







本作はラスボスを倒せばED…ではありません。

Co1xR-EVUAADeBS

選択6ステージ及び中間ステージのステージ内に隠されている7つの隠しアイテムを入手してシアンに渡すことで得られるアイテムを装備した状態でラストステージをクリアする…という前提条件を満たすことで、初めて真エンド用のステージに挑戦が可能となり、それをクリアすることでEDを見ることが出来ます。
この隠し場所はそこまで難しい場所はありません。すみずみまでしっかり探せば見つけることは容易でしょう。

image

これが真EDのためのフラグアイテム。これをきっちり装備してラストステージに挑みます。
話は変わりますが、感想内で書いたカゲロウという特殊能力、正確にはこの装備品のペンダントの能力とされています。
が、複数種類あるペンダントのうちのこれを装備すると「何の効果もない」と記述されているように、カゲロウは使用不可能になります。
この状態でラスボスを倒さないといけないので、相当キツい。
カゲロウを前提として本作の攻略をゴリ押すとここで泣きを見ます。

Co1dgXDVMAAdzqb

真エンドステージの裏ボスは、ラスボス撃破後の表EDにて自らを世界のキングになろうと考えていたことが発覚するGVの恩人ことアシモフ。
表EDでは、アシモフにガンヴォルトが殺され〆となっていましたが、真エンドではこうして復活を遂げて止めるという展開に変わります。
更にこのタイミングで、世界にたった二人しかいないアームドブルーのもう一人の能力者であるという素性を明かします。
本作の真のラストバトルは、タイトルにもなっているアームドブルー同士の死闘・・・というわけですね!
劇中の展開の仕様上、ゲーム中の死亡時に一定確率で覚醒する強化復活状態でこのアシモフとの最終決戦に挑むワケですが、アシモフはその敵なしと言える性能になる強化ガンヴォルトを畳み掛けるような強大なパターンの数々で襲ってきます。同じく覚醒強化復活でラストシナリオがヌルゲーとかす「ロックマンエグゼ」とはえらい違いだったなぁw
何度も死んではパターンを覚えて・・・というアクションゲームの基本繰り返しによるパターン記憶で、およそ20回ほど敗北してやっとアシモフを撃破!

Co1wurtVIAQvrvF

そして待っていた真EDは・・・悲しみに満ちたハッピーエンドとは呼べない切なさのこみ上げるものでございました。
最後に激突したアシモフは、ガンヴォルトに生きる意味を与えた恩人。
加えて、本作の発端とも言えるヒロインのシアンこのラストバトルの展開中に死亡してしまい、ガンヴォルトには悲しみしか残っていませんでした・・・。

Co1xIBlVUAAuQAH

ただ一つだけ残っていたものがあります。
死んだシアンが、先ほど入手したペンダントを媒介に擬似人格「モルフォ」とガンヴォルトの精神を融合させていたという事実です。
それによって死亡したガンヴォルトが復活してアシモフを止める・・・という展開になったわけですね。
EDテーマが掛かる前のこの鳥と蝶々のビジュアルは、ガンヴォルトの翼となって力となった「シアン」その力の源と呼ぶべき存在「モルフォ」が、ガンヴォルトの悲しみを癒す象徴として描かれているのでは、と俺は感じました。
このシーンの前に流れる虚無感溢れるガンヴォルトの心情を表現した地の文は、かの名作「ロックマンX」のEDを彷彿とさせられる切ない仕上がりです。

hqdefault

Baidu IME_2016-8-2_17-20-59

ガンヴォルトが命をかけて守ったシアン(モルフォ)の魂は、ガンヴォルトの中に・・・!

死んだ仲間の魂を糧に覚醒し立ち向かっていくという物語、俺の大好物です。
そういう意味で、本作のストーリーも非常に気に入りましたね。
特にこの真ENDにかけての展開はこうしてまとめたくなったレベルで好きでしたよ。

能力者を統治していた会社皇神(スメラギ)を社長ごと潰し、皇神のアンチ組織「フェザー」のトップまで倒してしまったガンヴォルト。

次回作では、無法地帯となって暴れる能力者達と、ガンヴォルトとの抗争が描かれるのかな・・・なんて予想します。
次回作が、非常に楽しみですね。

image

 ~了~